香りについて

嗅覚のアーティスト・上田麻希氏を迎え調香された香りのイメージは「skin tone」。
甘すぎず、どこか懐かしくて、さり気ない“凛”とした香りです。
-
匂いは、時に、時空を超えた予期せぬ場面に連れて行く。そして、その時、感じた個々の感情をそのまま再体験させてくれることがある。古代の日本の感性を、現代の私たちに伝えてくれる「万葉集」を紐解くと、四季の移ろいや風景を“匂い”で感じ捉える様は今も昔も同じである。

万葉集のある歌に
“春の苑 紅にほふ桃の花 下照る道に出で立つ少女(をとめ) /大伴家持”とある。
[意味:春の苑は桃の花で紅に輝いている。その下に立つ少女も輝いて見える。]

この歌のイメージの通り、桃の花は満開で、あたりがその芳香に満たされている。その下に立つ女性の頬が桃の花の紅色に照らされ、女性本来の仄かに赤らんだ頬の色と重なり合い、その女性は一切化粧をしていないのに、紅の「色香」を贅沢に装っている。
-
上田麻希 | Maki Ueda | http://www.ueda.nl/
オランダ在住アーティスト。
嗅覚とアートの融合を試み、匂いをメディウムとして作品を制作。
2010年にspace_inframinceで開催された個展の情報はこちら →